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「カステッリ・ロマーニ」とは?ローマ郊外の火山地帯で育つイタリアワインの魅力を探る

「カステッリ・ロマーニ」とは?ローマ郊外の火山地帯で育つイタリアワインの魅力を探る

こんにちは、オイジーです。

先日、とある素晴らしい「カステッリ・ロマーニ」のワインと出会ったので、理解を深めるために調べてみました。

「カステッリ・ロマーニ」は街の名前じゃない

実は、「カステッリ・ロマーニ(Castelli Romani)」は特定の一つの街の名前ではなくて、ローマの南東にある一帯の丘陵地の名前です。

「カステッリ・ロマーニ」という名前は、「ローマの城」を意味します。

これは、中世に裕福なローマ市民がこの地に多くの大きなヴィラや小さな城(castelli)を建てたことに由来しています。

古代ローマ時代から、このエリアはローマの貴族たちが夏の暑さを避けるための避暑地として頻繁に訪れる場所でした。

その伝統は歴代のローマ教皇にも引き継がれ、現在も教皇の夏の離宮があります。

どこにあるの?

位置するのはイタリア・ラツィオ州。

ローマの南東に広がる丘陵地帯の名称で、古くからローマ人の避暑地として利用されてきた場所です。車で一時間くらいの場所ですね。

火山の噴火によって形成された

 アルバン丘陵(コッリ・アルバーニ)の麓に広がる地域で、過去の火山の噴火によって形成された肥沃な火山性土壌が大きな特徴です。

かつての火口部分には、アルバノ湖(Lago Albano)とネーミ湖(Lago di Nemi)という美しいクレーター湖があります。

アルバノ湖

ネーミ湖

どんな土壌?

地理的には、海抜19メートルから600メートルの範囲にブドウ畑があり、主に西、南西、南向きの斜面に位置しています。

地質的には、メソゾイック時代の石灰岩と、第四紀のラツィアーレ火山の噴火による火山噴出物(火山灰、ラピリ)で構成されているとのこと。

特に火山灰が固まっていない土壌は「テッリネッレ」とも呼ばれ、水はけの良い砂質の深層土壌を形成します。

一方、凝固した凝灰岩は水はけが悪く、栽培には深耕が必要が必要で、一口に火山灰土壌と言っても多様な環境があるようですね・・・

ちなみにこの地の火山群は「ヴルカーノ・ラツィアーレ(Vulcano Laziale)」と呼ばれます。

「ヴルカーノ」はイタリア語で「火山」という意味です。

「ラツィアーレ」は、ローマを含む州の名前「ラツィオ州」のことで

繋がると「ラツィオの火山」という意味合いになります。

どんな気候?

気候は移行型の地中海性気候で、年間降水量は平均810ミリメートルから1110ミリメートル。

日本の年間降水量は平均すると1600mm前後とのことなので、比較すると雨は少ないなという印象。

夏(6月、7月、8月)は比較的乾燥していますが、極端ではありません。

年間平均気温は14.8度から15.6度で、冬もそれほど厳しくありません。

東京の平均気温が約15.4度とのことで、ちょうど同じくらいですね。

どんな歴史?

カステッリ・ロマーニのワイン造りの歴史は非常に古く、数千年前、つまりローマ人がペルシャからブドウ栽培を学び、ラツィオ中にブドウ畑を広げ始めた時代にまで遡ります。

紀元後の詩人ユウェナリス(65-135年)は、地元の人々が一番良いワインを自分たち用に取っておき、客には「羊毛の脂を取るのに使うべきだったようなひどい噴出物」を売っていたと皮肉を言っています

中世に入ると、多くの修道院や有力者によってブドウ畑が管理され、小規模ながらワイン生産は継続されました。

ローマが教皇庁の所在地となり、人口が増加するにつれて、ローマ市場でのワイン需要が高まりました。

カステッリ・ロマーニはローマへの主要な供給地となり、ワインに関する税(Gabelle)や規制が多く設けられました

15世紀には既にワインの取引に関する記録が残っています

16世紀半ばには、ローマのワインだけでは需要を満たせず、カステッリ・ロマーニのワインがローマ市場に大量に入ってくるようになります。

これは、教皇や枢機卿が食卓に多様で質の高いワインを求めたことも一因でした。

しかし、長い歴史の中で、カステッリ・ロマーニのワインは必ずしも良い評判ばかりだったわけではないようです。

一部の生産者は、他のサービスの売上を増やすためにワインの価格を非常に低く設定せざるを得ず、利益を出す唯一の方法がワインを水で薄めることだったとさえ認めています。

幸いにも、そうした品質の悪かった時代はもう歴史の一部のようで、近現代では、新しいブドウ畑の開墾やワイナリーの設立が進み、専門家たちの努力によって品質レベルと名声が高まっています。

どんなワインが造られているの?

カステッリ・ロマーニDOCでは、主に白、ロザート(ロゼ)、ロッソ(赤)の3種類のワインが生産されています。

これらのワインは、それぞれセッコ(ドライ)、アマービレ(やや甘口)、フリッツァンテ(弱発泡性)のタイプがあります。

ロッソにはさらにノヴェッロ(新酒)タイプも認められています

白ワインの主要品種はマルヴァジーア(マルヴァジーア・ビアンカ・ディ・カンディアとマルヴァジーア・プンティナータ)とトレッビアーノ(トレッビアーノ・トスカーノ、ディ・ソアーヴェ、ヴェルデ、ジャッロ)最大30%までブレンドすることが認められています。

赤ワインとロザートの主要品種は、サンジョヴェーゼ、チェザネーゼ、モンテプルチャーノ、メルローです。

DOC規定では、これらの品種に加えて、ネーロ・ブオーノの使用が認められており、その他の黒ブドウ品種を最大15%までブレンドすることも可能です。

ロザートは、白ブドウと黒ブドウをブレンドするか、黒ブドウのみを醸造して造られます。

カステッリ・ロマーニのDOC規定

「カステッリ・ロマーニDOC」は、1996年11月4日の法令によって承認され、その後数回の改正を経て現在の生産規程が定められています。

ブドウ栽培に関しては、植栽密度や仕立て、剪定方法も伝統的なものが推奨されています。

特に新しい畑や植え替えられた畑では、ヘクタールあたり1,100株以上の植栽密度とし、グイヨ、コルドーネ・スペロナート、コルティーナ・ペンデンテなどの伝統的な仕立て方が指定されています。

ブドウの最大収量も規定されており、白ワイン用ブドウは1ヘクタールあたり16.5トン、赤・ロザート用ブドウは1ヘクタールあたり16トンを超えてはなりません。

ただし、収量がこの制限を多少(白は78%、赤・ロザートは75%まで)超えた場合でも、その超過分はDOC名を名乗れませんが、それ以上を超えるとすべてのブドウがDOCの権利を失います。

また、年によっては州によってさらに厳しい収量制限が設けられることもあります。

ブドウの最低アルコール度数は10.00% vol.と定められています。救済灌漑は許可されています。

醸造は、原則として規定された生産地域内で行わなければなりません。

醸造時のブドウからワインへの最大歩留まりも定められており、白ワインは73%、赤・ロザートは70%です。

これを超えた分はDOC名を名乗れません。

瓶詰めに関しては、5リットル以下の容器の場合、ガラス瓶を使用し、コルク栓またはスクリューキャップで封をすることが規定されています(0.375リットルまでの容器はティアオフキャップも可)

王冠による栓は認められていません。

表示に関しては、品質に関する修飾語(extra, fine, sceltoなど)の使用は禁止されています。

ただし、生産者の名称やブランド名、さらには規定地域内の特定のコミューネ、集落、地区、場所の名前を表示することは認められています。

特定の畑名(vigna)も、要件を満たせば表示可能です。

どんな味わいのワイン?

あくまで参考ですが、具体的なワインの特性は、DOC規程の第6条に詳しく記述されています。

「カステッリ・ロマーニ」ビアンコ: 淡い麦わら色、フルーティーで強烈な香り、フレッシュで調和の取れた味わい(セッコ、フリッツァンテ、アマービレ)

「カステッリ・ロマーニ」ロザート: 淡いピンク色(ルビー色を帯びることも)、フルーティーで心地よい香り、フレッシュで調和の取れた味わい(セッコ、フリッツァンテ、アマービレ)。

比較的軽やかなボディと生き生きとしたキャラクターが特徴。

「カステッリ・ロマーニ」ロッソ: 淡いルビー色、ブドウ由来の持続性のある香り(ノヴェッロはフルーティー)、フレッシュで調和の取れた丸みのある味わい(セッコ、フリッツァンテ、アマービレ)。

適度なストラクチャーがあり、ポリフェノールやタンニンが豊富ながらも荒々しさがなく、ボディを感じさせます。

まとめ

やはりこの地のワインは標高の高さが産み出す冷涼感と、ラツィオの火山群が産み出す火山灰土壌の多様なミネラルが味わいのキーとなるようですね。

ちなみに私が素晴らしいと思ったのはテッラカンタというカンティーナのワインです。

カステッリ・ロマーニに位置していますが、よく見るとカステッリ・ロマーニDOCではなく、ラツィオI.G.T.でした。

やはり味わいの中にも火山灰土壌由来だと思われるミネラリティが感じられ、エネルギッシュで素晴らしいナチュラルワインでした。

テッラカンタ

機会があったらぜひお試しください。

ではまた。

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