こんにちは、オイジーです。
「シャトーヌフ=デュ=パプ(Châteauneuf-du-Pape)」
そのワインが持つ魅力に取り憑かれたOisyは、先日以下の記事を作成しました。
しかし約20,000文字の超大作になってしまったので、読むのも大変。
忙しい現代人には読んでられるか!って感じでしょう。
そこで作成したのが、こちらの要約バージョンです。
サクッとシャトーヌフについて理解できるようにまとめてみました。
そしてもっと深いシャトーヌフの秘密について知りたくなった時には、
上の記事の扉を開けてみてくださいませ。
きっとその歴史の奥深さに魅了されてしまうはずです。
それでは⋯

1. どこにあるの?
シャトーヌフ=デュ=パプは、
南フランスのローヌ川沿い、
アヴィニョンの北約12kmに位置します。
地中海から約60kmの内陸にあり、
ワインの産地としては「南ローヌ」に属します。
温暖な地中海性気候に恵まれ、
乾燥した強風
「ミストラル」
がブドウの健全な生育を助ける地域です。

2. 名前の由来と歴史
「シャトーヌフ=デュ=パプ」とは、
「教皇の新しい城」
という意味。
14世紀、ローマの情勢が不安定だったため、
教皇クレメンス5世がフランス南部に拠点を移し、
次の教皇ヨハネス22世がこの地に離宮(城)を建てたのが始まりです。
そして、この
離宮こそが「教皇の新しい城」、
つまり
シャトーヌフ=デュ=パプ
なのです。
教皇庁の移転に伴い、
この地域では教皇専用ワインが生産され、
外交や贈答にも用いられました。
このワインが
「ヴァン=デュ=パプ(教皇のワイン)」
の称号を授かり、
後に「シャトーヌフ=デュ=パプ」となっていくのです。

3. 土壌と気候の魅力
シャトーヌフの魅力は、その特異な地形と気候にあります。
まずは畑を覆う丸石。
「ガレ・ルレ」
と言います。
ガレ•ルレは、日中の熱を蓄え、夜間に放出してブドウの成熟を助けます。
また、石の下の水はけの良さがブドウの根を深く伸ばし、複雑なミネラル感を生み出します。
もう一つは、
ローヌ渓谷から吹き下ろす乾燥した風
「ミストラル」
このミストラルのおかげで
湿気がこもらず、
病害が少なく、
健康なブドウが育ちます。
この2つの要素が、シャトーヌフの品質の根幹です。

4. 最も自由なアペラシオン
シャトーヌフは最も自由なアペラシオン(原産地呼称)と言われます。
なぜならシャトーヌフではなんと、
最大18種類のブドウが使用可能だからです。
しかも
赤・白・ロゼ・グリ(灰色)すべて含まれます。
例えば:
- 赤:グルナッシュ・ノワール、ムールヴェードル、シラー、サンソーなど
- 白:グルナッシュ・ブラン、ルーサンヌ、クレレットなど
品種選択に制限はなく、
赤ワインであっても白ブドウをブレンドできる(最大20%)
という自由度の高さ。
故に造り手ごとの個性が出やすいのです。
一方で、
栽培・収穫・醸造のルールは非常に厳しく、
一定以上の品質のワインが生産される状況が産み出されており、
品質の高いワインが産み出される基盤になっています。

5. 偽造との戦いとAOC制度の始まり
20世紀初頭、シャトーヌフの名声を利用した偽物ワインが出回りました。
これにより名声を貶められる危険性が発生。
そのため生産者自らが厳しい規定を作成。
この動きがフランス初のAOC制度創設につながり、1936年に正式なAOCとして認定されました。
1937年には、教皇の三重冠と鍵のエンブレムが刻まれた専用ボトルも導入され、ブランドの信頼性をさらに強化。
これが現在のシャトーヌフのボトルの原型となっています。

6. 戦争、害虫、そして復活
19世紀後半にはフィロキセラ(ブドウ根に寄生する害虫)による壊滅的な被害、
20世紀には2度の世界大戦がありましたが、生産者たちは何度も立ち上がり、品質と伝統を守り抜きました。
戦後には輸出も回復し、1950年代以降は近代技術の導入や区画ごとの個性を生かすワイン造りも進展。
1970年代には評論家ロバート・パーカーの高評価などを受け、世界的な注目を浴びました。

7. 今のシャトーヌフは?
現在のシャトーヌフでは、環境配慮型の農法(オーガニック、ビオディナミなど)の導入が進み、全体の35%以上がそうした栽培に取り組んでいます。
冬には羊を畑に放ち、自然に草を管理するなど、持続可能な農業のモデルとしても注目されています。
また、古樹(ヴィエイユ・ヴィーニュ)の保存やクローン保存も進んでおり、将来を見据えた取り組みが続けられています。

8. どんなときに飲む?
シャトーヌフ=デュ=パプは、その豊かな香りと深い味わいから、特別な日やプレゼントにもぴったりです。
オイジー的なポイントは⋯
- 妖艶で華やか。
- しなやかで、香りが閉じづらく、比較的いつ飲んでも美味しい。
- 赤ワイン好きはもちろん、白も少量ながら非常に評価が高い。
- 品種選択の自由度が高く、造り手によって様々なスタイルがある。
- 一方でアペラシオンのルール(シャトーヌフを名乗るためのルール)が厳しいため、一定以上の品質が担保される状況が作り出されていて、ハズレが少ない。
- 紋章が高級感を演出。バックグラウンドの歴史がギフトの特別感を底上げしてくれる。

まとめ
シャトーヌフ=デュ=パプは、
- 教皇の歴史を背負った格式あるワイン
- 厳格なAOCで守られた高品質
- 土地と気候に恵まれたテロワール
- 持続可能性にも配慮した未来志向
ワインとしても、ストーリーとしても魅力満載です。
「ちょっといいワインが飲みたいな」
「贈り物に何か特別なものを」
そんな時、シャトーヌフは間違いない選択です。
さあ、今日の一杯は“教皇のワイン”で乾杯しませんか?

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